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花鳥風月

気ままに回文歌、いろは歌を書いています。

いろはうたの作り方 ~実践応用編~ 後半 2 

14. 「ゐ」と「ゑ」を再考する

ということで「うゐ」は使えないので、また元に戻って考える。

「ゐ」と「ゑ」が使われている文字は、だいたい下記(全部記しているわけではない)なので、今回のイメージに合うものを探していく。

「ゐ」を含む言葉

・「居」(ゐ)を含む文字 (鳥居 / 居る / 雲居 など)
・「為」(ゐ)を含む文字 (無為 / 有為 / 行為 など)
・「威」(ゐ)を含む文字 (威力 / 権威 など)
・「遺」(ゐ)を含む文字 (遺書 / 遺児 など)
・「維」(ゐ)を含む文字 (維持 / 維新 など)

※他にも「礼」(ゐや)、「域」(ゐき)、「韻」(ゐん)などがある

「ゑ」を含む言葉

・「絵」(ゑ)を含む文字 (影絵 / 大和絵 など)
・「笑」(ゑ)を含む文字 (笑む / 片笑む など)
・「咲」(ゑ)を含む文字 (咲む / 咲笑う)
・「会」(ゑ)を含む文字 (会す / 法会 など)
・「穢」(ゑ)を含む文字 (穢土 / 汚穢 など)

※他にも「酔ふ」(ゑふ)、「故」(ゆゑ)、「円」(ゑん)などがある

改めて選ぶと、今回イメージで使えそうなものは下記となった。

「ゐ」を含む言葉で使えそうなもの

・居る
・無為

「ゑ」を含む言葉で使えそうなもの

・笑む

五十音に戻って使えそうか見てみる。

---------------------------------

  う  
     
   せそ
     
     
     
    も
     
     
わゐ ゑ
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらをぬけて あち
ゆめ

ねむり こえ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜を抜けて 彼方


眠り 越え

---------------------------------

「居る」は「る」が使えない。
「無為」は「む」が使えない。
「笑む」は「む」が使えない。

どの道「ゐ」と「ゑ」はどこかで入れなければならないため、ここで使えないからといって、簡単に諦めてはいけない。

他の言葉はある程度自由が利くが、「ゐ」「ゑ」は使える言葉は限られているので、既に使われている「る」「む」が本当に必要かどうかを見ていく。

見てみると「る」は「はる」(春)の一部に使われている。春はこの歌に必要不可欠な言葉なので「る」は外せない。

一方「む」は「ねむり」(眠り)の一部に使われている。ここで「ねむり」は本当に重要な言葉かどうかを考えると、重要な言葉になりそうではあるが、絶対に重要とまではいかない。

ここは「む」を再び使うために「ねむり」を崩すことにする。

が、ここでまた問題が起きる。

・無為(むゐ)
・笑む(ゑむ)

どちらに使っても「ゐ」「ゑ」の一方が残ってしまう。どちらを優先しようか?

再び描いているイメージと照らし合わせる。

春が訪れて、吉野山に霞が棚引き、色が美しく輝く桜

……の道を進んでいくと、この世のものとは思えない美しい風景に巡り合った。あぁ、素晴らしいなぁ。

「あぁ、素晴らしいなぁ」と思いながら、思わず微笑むイメージが出たので、「む」を「ゑ」と組み合わせることにする。

---------------------------------

  う  
     
   せそ
     
   ね 
     
    も
     
 り   
わゐ  
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらをぬけて あち
ゆめ

こえ ゑむ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜を抜けて 彼方


越え 笑む

---------------------------------

「ゐ」が残ってしまったので、再び使えそうなものを見てみる。

「うゐ」に関しては、先ほどは使えなかったが、「ねむり」を崩すことによって「む」「り」の二文字が使えるようになった。これももう一度候補にいれることにする。

・うゐ(有為)
・ゐわ(慰和)
・せゐ(所為)
・ゐん(韻・院・員)

「せゐ」「ゐん」はイメージからはかけ離れている。「ゐわ」はイメージと近い気はするが、やはり合わない。よってここは「うゐ」を入れることに決定。

15. 「ゐ」「ゑ」を含む言葉を入れる

「ゐ」「ゑ」が含まれた言葉が決まったら、それを入れてみる。

今回、既に「ゑむ」は入っているので、「うゐ」を入れてみる。

---------------------------------

     
     
   せそ
     
   ね  
     
    も
     
 り   
わ   
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらをぬけて あち
ゆめ

こえ ゑむ うゐ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜を抜けて 彼方


越え 笑む 有為

---------------------------------

16. 「ゐ」「ゑ」を使い切った後の文字を見てみる

残りの文字を見て、これらの文字を使い切れるかどうかを見てみる。

---------------------------------



   せそ
     
   ね  
     
    も
     
 り   
わ   
    ん

---------------------------------

五十音をじっと見る。

・わり(割り)
・ねん(念)
・そ も せ

だめだ、この組み合わせでは完成しない。

もう一度五十音をじっと見る。

・ねり(練り)
・わせ(和せ)
・そもん(素問)

だめだ、言葉は使い切れたが、描いているイメージには到底使えない。

17. 再び戻って「ゐ」「ゑ」を含む言葉を考える

苦労して言葉を吟味して「うゐ」「ゑむ」を導きだしたが、これは使えないことがわかった。

新たな使い道を考える。

さて「ゑむ」と「うゐ」どちらを崩すか? また二つとも崩すか?

迷うところだが、ここは例によって「ゑむ」「うゐ」それぞれの重要性を吟味してみる。

「ゑむ」(笑む)は、イメージの最後の「あぁ、素晴らしいなぁ」の所で、思わず微笑むというイメージで使いたいので、なるべくは残しておきたい。

一方「うゐ」(有為)は、「こえ」(越え)と一緒に使えそうだが、「ゑむ」と比較すると、重要度は低い。よって「うゐ」のみを崩すことにする。

---------------------------------

  う  
     
   せそ
     
   ね 
     
    も
     
 り   
わゐ  
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらをぬけて あち
ゆめ

こえ ゑむ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜を抜けて 彼方


越え 笑む

---------------------------------

18. これまでの言葉を崩して「ゐ」「ゑ」の文字を使う

「ゐ」「ゑ」の文字がどうしても使えない場合は、今までの文字を崩してでも使う。

説明が重複するが、他の文字はある程度代替は可能だが、「ゐ」「ゑ」はそうはいかない。残りの文字との組み合わせが成立しない以上、今までの文字を崩す他ない。

今回は、「ゑ」は「ゑむ」の文字で使うことはひとまず決定しているため、「ゐ」について考える。

さて、どの言葉を崩すかだが、「ゐ」が使える言葉は限られているので、なるべく多くの選択しが欲しい。

17. 重要な言葉とそうでない言葉に分ける

そこで、ひとまず絶対に外したくない言葉とそうでない言葉に分ける。

今回は下記に分けることにした。

絶対に外したくない言葉

・春方
・訪れ
・吉野山
・霞
・棚引き
・色
・匂ふ
・桜
・夢
・笑む

外しても良い言葉

・を抜けて
・彼方
・越え

さすが、前半言葉を吟味してきただけに、外したくない言葉は前半に集中している。

今度は、外しても良い言葉を一旦全部崩して配置してみる。「ゑむ」はイメージの最後の方に使いたいので、とりあえず4段目五文字枠に配置する。

---------------------------------

あ うえ 
   けこ
   せそ
 ち て 
  ぬね 
     
    も
     
 り   
わゐ  を
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくら
ゆめ      ゑむ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ

夢 笑む

---------------------------------

再び「ゐ」が使えないか、五十音をじっと眺めて見る。

先ほどは使えなかった文字が出て来る。

・ゐち(位置)
・あゐ(藍)
・ゐんちう(印鈕)

しかし、これも今回のイメージは合わない。

もっとよく探してみると、下記の言葉が使えそうだ。

・ゐぬ(居ぬ)
・ゐて(居て)

これなら当初描いていたイメージとも合いそうである。

美しく輝く桜を進んでいくと、夢のような世界があって、気が付けば自分がそこに居た、(もしくは)そこに居て、と繋げられる。

19. 言葉の活用について

・居ぬ
・居て

さて、どちらを使うべきだろうか?

どちらを使うべき、ということは言えないが、使える言葉が減って来た今、比較的使いにくい言葉から使っていくことが望ましい。

「ぬ」と「て」、それぞれ他の言葉との関連性を見た時、「ぬ」の方が用途が狭いと言えそうだ。

「ぬ」は、主に完了を意味する助動詞として使えるが、「て」は「てにをは」の「て」でもあり、「で」としても使えるので用途が広い。

イメージ的にも「そこに居た」と「そこに居て」では、それほど違いはないので、ここは「ゐぬ」を使うことにする。

20. 関連付けをしやすい文字とそうでない文字を意識する

再び説明が重複するが、後半に入っていくと使える文字が減っていってしまう。そのため、あまり他の言葉と関連付けしにくい言葉ばかり残っていると、どうしても完成できない場合がある。

なので、後半あたりに差し掛かったら、それも意識しながら言葉選びをしていく必要がある。

たとえば、残り5文字の段階になったとして、下記のどちらが使いやすいだろうか?

---------------------------------




   て

  
 み

    を

---------------------------------

---------------------------------



    せ

  ぬ


  ゆ



---------------------------------

上の五文字はそれなりに自由がきく

・かみはてを(神は手を)
・かはをみて(川を見て)
・はかをみて(馬鹿を見て)
・かてをはみ(糧を食み)
・はてをかみ(果て拝み)

一方、下の五文字はどうやっても言葉を作れない。強引にすれば下記の言葉はひねり出せるが、由良は地名なので表現が限られてしまう。

・わせぬゆら(和せぬ由良)

ここで、試しに「は」と「ゆ」を入れて変えてみる。

---------------------------------




   て
 
  
 み
  ゆ
    を

---------------------------------

---------------------------------



    せ

  ぬ


   



---------------------------------

上下それぞれうまく言葉が収まった。

上の五文字

・ゆみかてを(弓が手を)
・ゆかをみて(床を見て)
・をかてみゆ(丘で見ゆ)

下の五文字

・はらせぬわ(晴らせぬ我)
・わせぬはら(和せぬ腹)

と、このように関連付けられやすい文字が一文字入ることで、表現できる言葉が広がる場合が多々ある。なので、他の文字と関連付けがしにくい文字は、うまく当てはめることができれば、先に使っていきたいところだ。今回の場合なら「ゐて」ではなく「ゐぬ」を使う、ということ。

後のことを考えると、このことは最初から意識したくなるかもしれないが、最初からそれを意識しすぎると、今度はイメージが広がらない場合がある。なので、私は前半部分では多少意識はしつつも、好きに言葉選びをしている。

21. 再び「ゐ」「ゑ」を使い切った後の文字を見てみる

さて「ゐぬ」「ゑむ」の言葉を入れた後は、手順15と同じく、残りの文字を見て、これらの文字を使い切れるかどうかを見てみる。

---------------------------------

あ うえ 
   けこ
   せそ
 ち て 
   ね 
     
    も
     
 り   
わ   を
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくら
ゆめ   ゐぬ ゑむ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ

夢 居ぬ 笑む

---------------------------------

まだある程度文字が残っていて、どうしたらいいのか悩むところだが、先ほどから何回も言葉を吟味しているので、文字の目星が付けやすくなっていることがお分かりだろうか。

五十音を眺めてみると、先ほど吟味してきた下記言葉が目に付く

・ちり(散り)
・こえ(越え)
・あち(彼方)

さらに、先ほどはこのようなことも考えていた。

・桜をタタタ 彼方○○○

「ゐぬ」を使ったので「ぬけて」は使えなくなったが、似たような意味の「こえて」が使えることに気付く。よさそうなので、これを入れる。

同時に彼方(あち)も入れられるが、よほど入れたい重要な言葉でないなら、一度に複数の言葉を入れるのはご法度だ。

なぜなら「あ」「ち」の二文字は「あち」としても使えるが、他の文字との組み合わせることで、もっと確度の高い言葉に化ける場合もあるからである。

一文字増える、または減るだけで、使える言葉も五十音を見た時の印象もがらりと変わってくるので、ここは慎重に事を運ぶ。

ということで、ここでは「をこえて」のみを入れてみる。

---------------------------------

あ う  
   け 
   せそ
 ち   
   ね 
     
    も
     
 り   
わ    
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらをこえて
ゆめ   ゐぬ ゑむ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜を越えて
夢 居ぬ 笑む

---------------------------------

22. 再び残りの文字をピックアップする

ごちゃごちゃと説明しているが、もう一度確認しておくと、大まかな流れとしては下記となる。

五十音を見る → 文字を抜き出す → (修正する所があれば、これまでの文字を崩して文字の増減入れ替えを行う) → 五十音を見る → 文字を抜き出す → 繰り返し

さて、上記残りの文字を見て、言葉の抜き出しを行っていくが、先ほど説明したように、関連付けをしにくい文字を先に使っていきたい。

「ゑ」「ゐ」も用途が限られているが、他には「わ」「ね」「ゆ」「ら」「ろ」も残りやすい、意外と「せ」も残る場合がある。

ここでの文字は「わ」「ね」である。「せ」は私の経験上では残りやすいと言えるが、それ以外の文字ほどではないので、今回は省くことにする。

ということで、使えそうな言葉を拾っていく。

「わ」を含んだ文字

・わあ(×)
・わう(王)
・わけ(分け)
・わせ(和せ)
・わそ(×)
・わち(×)
・わね(×)
・わも(×)
・わり(割り)
・わん(椀)

・あわ(泡)
・うわ(×)
・けわ(×)
・せわ(世話)
・そわ(×)
・ちわ(痴話)
・ねわ(×)
・もわ(×)
・りわ(×)
・んわ(×)

まずは二文字の組み合わせを見る。三文字以上のものは、二文字の組み合わせを見て連想すると判りやすい。

たとえば「んわ」は言葉としては絶対に成り立たないので「×」となるが、「そんわ」(尊話)という言葉なら成立する。

続いて「ね」を含んだ文字

・ねあ(×)
・ねう(尿)
・ねけ(×)
・ねせ(×)
・ねそ(ねそ……言葉や動作がのろく、鈍いこと。また、その人。また、気の利かない人にもいう意味の言葉)
・ねち(×)
・ねも(×)
・ねり(練り)
・ねわ(×)
・ねん(念 / 年)

・あね(姉)
・うね(畝)
・けね(×)
・せね(×)
・そね(埆)
・ちね(×)
・もね(×)
・りね(×)
・わね(×)
・んね(×)

見てみると「わ」は「分け」が使えそうだ。「ね」で使えそうなのは「念」だが、微妙なので今は放置する。

今回は、たまたま「分け」が導き出されたが、ここでどうしても出て来ない場合もある。この場合、残っている文字と使ってしまった文字で崩せそうなものを探して、歌のイメージに合う言葉をなんとか作りだす。

たとえば、既に使っている「を」を崩して「をんわ」(温和)にしてみるなど工夫する。イメージにどんぴしゃとはいかないが、この言葉を使えば、桜を道を越えたら、温和な世界が広がった、あぁ素晴らしいなぁ、という流れに出来るのではないか、と考え、一つの候補にできる。

今回は「分け」が見つかっているのでこれを使う。問題はどこに配置するかだが、とりあえず「分け越えて」とすると流れが良いので、下記のように配置する。

---------------------------------

あ う  
     
   せそ
 ち   
   ね 
     
    も
     
 り   
     
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくら   を わけこえて
ゆめ   ゐぬ ゑむ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜 を 分け越えて
夢 居ぬ 笑む

---------------------------------

残りの文字の組み合わせも考える

・うち(内)
・あり(有り)
・ねん(念)
・そ も せ

言葉が余って成立しないので、もう一度よく見てみる。

・あち(彼方)
・ねん(念)
・うそ(嘘)
・せもり(背守)

文字数はぴったり合ったが、言葉の意味がつながらない。

23. 再び文字を崩す

この残り9文字では、どうしても完成しないので、これまでの文字をまた崩す。

といっても、ここまで来ると、既にまとまってしまった言葉が多い。その中で、なんとか重要度の低い所から崩していく。

歌の流れを見てみると「桜分け越え」としても成立するので「を」と「て」を抜くことにする。

---------------------------------

あ う  
     
   せそ
 ち て 
   ね 
     
    も
     
 り   
    を
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらわけこえ 
ゆめ   ゐぬ ゑむ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜分け越え 
夢 居ぬ 笑む

---------------------------------

24. 文字数を確認する

時折、五十音の残り文字数と歌の空白文字数を確認する。

・残り文字……11
・空白文字……11

特にいつ確認するとは決まっていないが、どの道、一文字でも間違っていたら完成しなくなるので、こまめに慎重に確認する。私の場合は、ひと段落着いたところで、気付いた時に確認している。

25. イメージにあった文字を当てはめる

厳しい文字数だが、ただ文字を当てはめるだけでなく、なんとかイメージに合った文字を当てはめたい。

桜の木を分けながら、その先を越えていったら、夢のような世界が広がっていた、というイメージに合うように言葉を選択したい。

再び五十音を見る。

・あちてり(彼方照り)

はどうだろうか? しかしこれでは、残りの文字を全て当てはめることはできそうにない。

再び五十音を見る。

・ありもせぬ(有りもせぬ)

なら、イメージに合いそうだ。だが「ぬ」は「ゐぬ」で使われている。しかしよく見ると五十音に「て」があるので「ゐぬ」は「ゐて」に変えられそうだ。

「ゐぬ」を「ゐて」に変えて「ありもせぬ」を入れてみる。

---------------------------------

  う  
     
    そ
 ち   
   ね 
     
     
     
     
    を
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらわけこえ ありもせぬ
ゆめ   ゐて ゑむ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜分け越え 有りもせぬ
夢 居て 笑む

---------------------------------

ほぼイメージ通りに出来上がった。あとちょっとである。

26. より細かい単位で見ながら文字をピックアップする

また繰り返し、残りの文字をピックアップしていくのだが、最後のほうになって来ると、より細かい単位で見ていったほうがよい。

これまでであれば

・ねんち(稔侍)
・うそ(嘘)
・を

と、なるべくすっきりまとまる形でピックアップしてきたが、最後のほうになると、言葉はぴったり合っても、完成させたいイメージに合わない場合が多い。結果、これまでの文字を崩すことになることが大半になってくる。

つまり、ここまで来ると、これまでの文字を崩す可能性のほうが大きくなるということだ。なので、残っている文字の組み合わせを考えるだけでなく、同時に、これまでの文字を崩したり、付け加えたりして、よりイメージに合う文字に出来ないかも考えていく。

たとえば「う」と「そ」は「うそ」とも出来るが、これをひっくり返して「そう」にすることも可能だ。「そう」は総、層、増(ぞう)、贈(ぞう)を含む言葉に使えるので、かなり幅広い。

「う」「そ」の二文字を見たとき、「○○そう」(大層など)や「そう○○」(総合など)と、別の言葉でも使えるかもしれない、と思いつつ眺めると、より可能性が広がるということだ。

ただし、草(そう)、早(そう)などは歴史的仮名遣いでは「さう」となる。ちゃんと歴史的仮名遣いでも「そう」になっているのか、よく注意したいところだ。

今回の例では既に使っている「ゆめ」に「ち」を加えることで「ゆめち」(夢路)とすることが出来る。

もちろん、これはただなんとなく「ち」を付け加えたのではない。

歌を見てみると、「有りもせぬ 夢ほにゃらら居て」という流れがある。イメージと重ね合わせると下記のような感じにしたい。

・有りもせぬ夢の中に居て
・有りもせぬ夢のどこかに居て

しかし今更「有りもせぬ 夢の中居て」、或いは「有りもせぬ 夢のどこかに 居て」などという形には出来ない。

少なくとも「有りもせぬ 夢居て」では、文章としておかしくなる。しかし「有りもせぬ 夢路居て」ならば、イメージとも合うし、文章の流れ上も問題ない。

以上の理由から「ち」のみ付け加えてみる。

---------------------------------

  う  
     
    そ
     
   ね 
     
     
     
     
    を
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらわけこえ ありもせぬ
ゆめちゐて   ゑむ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜分け越え 有りもせぬ
夢路居て 笑む

---------------------------------

残りは

・うそ(嘘)
・ねん(念)
・を

のみになった。

27. イメージに合わない言葉を辞書で調べる

「念」はイメージにかろうじて合わせることができそうだが、「嘘」はちょっとイメージと結びつきにくい。

無理やり突っ込んでみるとこうなる。

---------------------------------

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜分け越え 有りもせぬ
嘘夢路居て 念を笑む

---------------------------------

無理やり突っ込んだせいか、なんだか意味がよくわからなくなった。

なんとかしようと配置替えをしてみる。

---------------------------------

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜分け越え 有りもせぬ
夢路居て念 嘘を笑む

---------------------------------

なんだか、さらに悲惨になってしまった。

最初の「春方訪れ」から始まり、とても趣のある流れになっているのに、最後の「嘘を笑む」で台無しである。

こういう、どうにもならない時は、その言葉をネット上の辞書(無料で使えるものがある)の「前方一致」「後方一致」「完全一致」でとことん調べてみる。調べてみると、今回の場合は奇跡的に「うそ笑む」という言葉が見つかる。

もし見つからなかったとしても、その言葉を辞書で調べていると、それに関連する言葉がずらりと並んでいるので、そこから思わぬインスピレーションが湧くことがある。だから決して無駄にはならない。

今回の説明では「ここで辞書を引いて」云々は書かなかったが、行き詰まった時にはその都度、辞書を引くことを強くお勧めしたい。辞書を引くことで、今まで知らなかった言葉を知ることが出来る。その時の歌作りでは役に立たなくても、後々の歌作りに役立つことが多々あるし、何より言葉を多く知っているということは、それだけ表現の幅も広がるということだ。

最後に「うそ」と、残りの「を」「ねん」を入れる。

---------------------------------

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらわけこえ ありもせぬ
ゆめちゐてねん うそゑむを

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜分け越え 有りもせぬ
夢路居て念 うそ笑むを

---------------------------------

28. 完成した歌の形を見る

さて、とりあえず歌が完成したが、この形で本当に良いのかどうかを見る。

「を」は感動・詠嘆を意味する間投助詞で使えるとしても、第一印象では「念」がイメージが合わない。

桜の木を分けて、その先を越えていったら、有りもしない夢路に居て、念を発して、微笑んだ。

????

最後でイメージが台無しである。しかし、形が出来上がってしまっているので、なんとかならないものか。

すかさず「念」を辞書で調べてみる。

「非常に短い時間。一念。刹那。」という意味もあることがわかった。この意味を踏まえて改めて見てみると、うん、悪くない。

めでたく完成!

29. 完成したらさらに良い表現が無いかを調べる

さて、完成した形は申し分ない出来だが、もしかしたら未だ良い表現があるかもしれない。

歌を見て、もっと良い形にならないかを一応探ってみる。

---------------------------------

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらわけこえ ありもせぬ
ゆめちゐてねん うそゑむを

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜分け越え 有りもせぬ
夢路居て念 うそ笑むを

---------------------------------

探ってみると、このような形でもいけることがわかった。

---------------------------------

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらわけこえ ありもせぬ
ゆめちゐてねん をうそゑむ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜分け越え 有りもせぬ
夢路居て念 翁ぞ笑む

---------------------------------

桜の木を分けて、その先を越えていったら、有りもしない夢路に居て、瞬間、翁が微笑んでいる姿が見えるなぁ。

……悪くはないが、しかし翁(をう)は音読みであり、最後の流れが若干詰まっている感じがする。加えて、当初のイメージに老人は出て来ていない。こちらのイメージのほうがしっくり来るならばこれに採用だが、今一歩、先ほどの完成形に及ばない。

よって、下記で完成とする。

---------------------------------

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらわけこえ ありもせぬ
ゆめちゐてねん うそゑむを

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜分け越え 有りもせぬ
夢路居て念 うそ笑むを

---------------------------------

30. 歌のチェックをして発表

作成手順編の手順8の要領で、文字の重複&仮名遣いのチェックをし、間違いがなければ発表する。

Posted on 2017/02/28 Tue. 00:40 [edit]

category: 歌の作り方

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28

いろはうたの作り方 ~実践応用編~ 後半 1 

~実践応用編~ 前半の続き。

---------------------------------

あ うえ 
   けこ
   せそ
 ち て 
  ぬね 
     
  むめも
  ゆ  
 り   
わゐ ゑを
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくら

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ


---------------------------------

10. 使える言葉をピックアップする

つまり手順5と同じことをするのだが、後半はちょっと見方を変える。

2段目ぐらいまでの前半部分は、それなりに言葉を自由に使えたが、3段目以降の後半は当然使える言葉が限られて来る。

解説を読んでいる限りでは、まあ当然それはそうだよね、と思うだろうが、実際やってみると、これが思っていた以上にかなりきつい。

だから、後半は一文字も漏らさないような言葉選びをする、ということを念頭におく。

~実践応用編~ 前半の手順4では、どうしても使いたい言葉があれば、諦めずに試行錯誤していくべき、という主旨のことを書いたが、後半部分では、よっぽど使いたい言葉がない限りは、どこまでも妥協していくことをお勧めする。

歌の趣旨とは多少ずれていて関係がないように見えても、とにかく言葉として意味を通るような文字選びをしていく。

48文字の縛りがある以上、全て自分が使いたい言葉で埋めようとすることは相当難しい。だからこそ前半部分で、まだ言葉選びがしやすい段階で、自分の本当に表現したい言葉を選んでいくのである。

つまり、この時点まで来ればある程度、自分の表現したい言葉は前半部分で散りばめられているはずなのである。とはいえ、全く関係のない文字がひとつ入るだけで、歌がぶち壊しになってしまうこともあるので、慎重に文字を選んでいく。

またここまで来ると、だいたい物語をどう締めくくらせたいのか、という見込みも合わせてつけておく。

上記の場合であれば、春が訪れて、吉野山に霞が棚引き、色が美しく輝く桜……、という流れがある。さて、その先を、どういう風景にしていきたいのか? ということを考えるわけである。

春が訪れて、吉野山に霞が棚引き、色が美しく輝く桜

……の下で、二人の侍が戦っている。なんて見事な剣さばきだろう。
……が舞う夢を見て、目覚めたら自分の部屋だった。あぁすごい夢だったなぁ。
……を見たいと思って、今自分は吉野行きの電車に乗っている。あぁ、楽しみだなぁ。
……を見に行くんだけど、やっぱり旅館の食事が気になるんだよなぁ。

と、まあ極端な例も交じっているが、こういう感じで、自分が描きたいイメージはもっておく。使える言葉が少なくなっていくので、必ずしもイメージ通りになるとは限らないが、飽くまでもそれに合うように完成を目指す。

今回は下記のイメージなので、それに合わせて言葉を選んでいく。

……の道を進んでいくと、この世のものとは思えない美しい風景に巡り合った。あぁ、素晴らしいなぁ。

上記の五十音では、前半部分で気になっていた「ゆめ」がまだ残っているので、それをまず抜き出すことにする。位置は、上記イメージでいうと「桜」→「道を進む」→「夢(ゆめ)のような世界にいく」→「ああ素晴らしい」の流れなので、後半2段の4分の3程度の所と考え、とりあえず4段目冒頭に配置する。


---------------------------------

あ うえ 
   けこ
   せそ
 ち て 
  ぬね 
     
  む も
     
 り   
わゐ ゑを
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくら
ゆめ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ



---------------------------------

引き続き、五十音と歌を眺めて言葉を探す。

先ほども書いたように、とにかく言葉として意味が通るような文字をピックアップしていく。この段階では、まだ言葉が比較的多く残っているので、あわよくばイメージと合いそうなものがないかも合わせながら探す。

たとえば、このような文字が目に付く

・ねむり(眠り)
・あち(彼方)
・ちり(散り)
・もり(森)
・こゑ(声)
・うち(内)

さて、どれをピックアップしようか?

眠り → 「夢」との関連性が深い。
彼方 → 桜の道の先を行くと別世界に来てしまった、というイメージと合う。
散り → 桜といえば散るイメージが有名なので使えそうだ。
森  → 森の中の桜はイメージしやすそうだが、前半に「山」があるので重複する。これは合わない。では杜(もり)はどうか。
杜  → 今回は神社の杜というイメージではない。
声  → 何かの声に導かれて、というイメージは湧くが、今回のイメージとは合わない。
内  → 今回のイメージとの関連性はつけられそうだが、ちょっと方向性が弱い。

どれにするか迷うが、直前に出て来る「ゆめ」と一番関連性が深い「ねむり」をピックアップしてみる。五十音を見てみると「て」もあるので、流れを考えて「ねむりて」の形で試してみる。

確かに当初のイメージに眠りのイメージはないが、「ゆめ」との関連性の深さを考えると捨てがたいので、とりあえず当てはめてみる。

---------------------------------

あ うえ 
   けこ
   せそ
 ち   
  ぬ  
     
    も
     
     
わゐ ゑを
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくら
ねむりてゆめ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ

眠りて夢

---------------------------------

10. ピックアップした言葉を吟味する

改めて感じを見てみる。

ちょっと強引にやればイメージを広げられそうだが、やはり厳しい。また「春」から縦に読めば先ほどは「春霞桜夢」と来て美しかったが「春霞桜眠」にするのはもったいない。よって却下する。

11. 戻る位置を考える。

「眠る」を却下することは決まったが、ここで、どこまで戻るかを考える。基本的には下記の状態のように一つ前で良いが、場合によってはごっそり前半部分まで戻る場合もある。

一つ前まで戻る場合。

---------------------------------

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ



---------------------------------

前半部分まで戻る場合。

---------------------------------

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ

---------------------------------

今回は「桜」も「夢」も歌の構成にどうしても必要なので省かなかったが、場合によっては、新たにピックアップした文字を見た時、イメージの方向性が変わって後半部分をごっそり省く場合がある。

とにかく、一つ一つの言葉を見て、それが歌に絶対に必要なのかを見ていく。

先ほどに戻る。

---------------------------------

あ うえ 
   けこ
   せそ
 ち て 
  ぬね 
     
  む も
     
 り   
わゐ ゑを
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくら
ゆめ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ



---------------------------------

改めて見てみると、やはり「夢」の位置は変えられないなぁ、と再認識する。

12. ピックアップした他のキーワードを試す

今度は、先ほど関連性が強かった彼方(あち)を選択してみる。

---------------------------------

  うえ 
   けこ
   せそ
   て 
  ぬね 
     
  む も
     
 り   
わゐ ゑを
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくら     あち
ゆめ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜 彼方


---------------------------------

「桜」がほにゃらら、で「彼方」がほにゃらら、で「夢」がほにゃらら。

という流れが出来た。中々よさそうだ。次に「さくら」と「あち」の間に入れられる文字を探す。

この時、元々のイメージでは桜の道を進んで、どこか彼方に行く、という流れであるので、どういう言葉が適当かを考えつつ、このイメージに合うような文字を探す。

「さくら○○○○ あち○○○」
「さくら○○○○ あち○○○」
「さくら○○○○ あち○○○」

「さくら」と「あち」の間の「○○○○」の四文字を考える。出来れば言葉の流れ、拍子も感じながら五十音を眺めてみる。ここでは拍子を強調するため「○」を「タ」に変えてみる。

「さくらタタタタ あち○○○」
「さくらタタタタ あち○○○」
「さくらタタタタ あち○○○」

さくら三文字の後に続く「タタタタ」の四文字。この四文字を考える。このタタタタの中に文字を入れて「桜の道を進んだら、どこか遠い彼方の別の世界に来てしまった」という流れにしたい。

五十音を見てみると「を」があるので、とりあえずこれを入れてみる。

---------------------------------

  うえ 
   けこ
   せそ
   て 
  ぬね 
     
  む も
     
 り   
わゐ ゑ
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらを     あち
ゆめ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜を 彼方


---------------------------------

「さくらをタタタ あち○○○」

このタタタに何を入れようか?

……ふと思いついた「すすみ」を入れてみる。

「さくらをすすみ あち○○○」

流れは綺麗になったが、五十音を見ると「す」がない。それ以前に「す」が二つあるのでこれは使えない。

では「すすみ」と似たような意味の文字はないだろうか?

再び五十音を見る。「ぬ」「け」「て」が目に入る。

「さくらをぬけて あち○○○」

これならいけそうだ。入れてみる。

---------------------------------

  うえ 
    こ
   せそ
     
   ね 
     
  む も
     
 り   
わゐ ゑ
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらをぬけて あち
ゆめ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜を抜けて 彼方


---------------------------------

中々良い流れである。

12. ひと段落ついたら文字数と仮名遣いを確認する

ここから一気に仕上げて行きたい所だが、後半、歌がある程度まとまってきたら、文字数が本当に合っているか、また使った言葉はちゃんと歴史的仮名遣いになっているかを確認する。

特に、歌を見て一文字も違和感がない状態の時に確認する。まだ未完成ではあるが、これまでの文字は一文字も崩したくはない、と思った時だ。

なぜこの時点で確認を入れるかというと、下記二つの理由がある。

・これまで吟味に吟味を重ねてきた言葉に重複や誤りがないかを見るため
・残っている文字が本当に合っているかを見るため

もし今まで連ねてきた言葉に誤りがあった場合、その言葉をまた組み直さなければならない。そしてその組み直しは、歌が完成に近づくにつれて大変なものとなる。

また、完成に近づくにつれて使える文字が少なくなるので、文字が一つ足らない、或いは使える文字が一つ間違っているだけで、大問題となるからである。

まずは文字数をチェックする。

---------------------------------

  うえ 
    こ
   せそ
     
   ね 
     
  む も
     
 り   
わゐ ゑ
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらをぬけて あち
ゆめ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜を抜けて 彼方


---------------------------------

五十音の文字を一つ一つ数えていき、今度は歌の空白部分を数える。

・残り文字……13
・空白文字……13

ということで、文字数は問題なし。

通常は文字数を間違うことはないのだが、まれに五十音から文字の抜き出しを行う際、関係のない横の文字も一緒に消している場合があるので、一応確認はしておく。

次に文字に誤りがないかを調べる。

たとえば、「にほふ」を「にほう」と間違っていたら、下記のようになる。

---------------------------------

   え 
    こ
   せそ
     
   ね 
  ふ  
  む も
     
 り   
わゐ ゑ
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほう
さくらをぬけて あち
ゆめ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂う
桜を抜けて 彼方


---------------------------------

厄介なのは、文字数は合っているので一見すると間違っていないように見えることだ。

これでは、まだこれから使えるはずの「う」の文字が使えず、本来もう使ってはいけない「ふ」の文字を使ってしまうことになる。仮にこの状態で歌を完成させたとしても、間違った完成となってしまう。

このように、完成させた後に間違いに気付いたら、それだけ多くの言葉の入れ替えをしなくてはならなくなるので、今ここで確認しておく。

確認の仕方は作成手順編の手順3と同様にする。

---------------------------------

あいうえお
かきくけこ
さしすせそ
たちつてと
なにぬねの
はひふへほ   ←下記歌のひらがな部分を抜き出す
まみむめも
や ゆ よ
らりるれろ
わゐ ゑを
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらをぬけて あち
ゆめ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜を抜けて 彼方


---------------------------------

抜き出せば、元の下記状態に戻る。

---------------------------------

  うえ 
    こ
   せそ
     
   ね 
     
  む も
     
 り   
わゐ ゑ 
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらをぬけて あち
ゆめ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜を抜けて 彼方


---------------------------------


13. あらかじめ残りの文字をピックアップする

確認を終えれば、また同じように五十音から言葉を抜き出していく。しかしお気づきのように、そろそろ使える文字も少なくなってきた。

なので、このぐらいの時点まで出来上がってきたら、後で文字が余らないように、あらかじめ使える文字をピックアップしていく。

---------------------------------

  うえ 
    こ
   せそ
     
   ね 
     
  む も
     
 り   
わゐ ゑ
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらをぬけて あち
ゆめ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜を抜けて 彼方


---------------------------------

もちろんここでも、歌のイメージに添うような言葉を抜き出していくが、一番はとにかく【全ての文字を使い切る】ということに意識を向ける。なので、多少イメージと違う言葉が出て来ても、まずはピックアップすることが重要となってくる。とはいえ、あまりイメージが違いすぎる言葉も選んではならない。

上記でいうと、たとえば「せり」(芹)などは、今回のイメージに確実に合わないので使わない。

再び上記を眺めてみると、まだ残っている「ねむり」が目に入る。これを入れてみる。

仮に、ピックアップした言葉が流れに合えばそこに入れればよいが、そうでないならば、横に除けておいてもよい。

---------------------------------

  うえ 
    こ
   せそ
     
     
     
    も
     
     
わゐ ゑ
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらをぬけて あち
ゆめ

ねむり 

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜を抜けて 彼方


眠り

---------------------------------

また五十音を見る。今度は「こ」「え」が目に入る。

---------------------------------

  う  
     
   せそ
     
     
     
    も
     
     
わゐ ゑ
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらをぬけて あち
ゆめ

ねむり こえ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜を抜けて 彼方


眠り 越え

---------------------------------

13. 「ゐ」と「ゑ」をどこで使うか考える

使える文字がいよいよ少なくなってきたが、五十音を見るとまだ「ゐ」と「ゑ」が残っている。後半に差し掛かったら、この「ゐ」と「ゑ」をどこで使うかを、心のどこかで意識しておく。しかし、それを意識しすぎると、知らず知らずのうち歌の形に制約をかけている場合もあるので、中々塩梅が難しい。

どちらにせよ、この二文字も、どこかで使わなければならない。

まずは残っている文字で使えるものがあるかどうかを見てみる。

眺めてみると「ゐ」は「うゐ」(有為)として使える。ゑは「ゑそ」(壊疽)として使えるが、今回のイメージには合わない。

とりあえず「うゐ」は今回の歌のイメージ近いので使えそうだ。

……と、これまでであれば「うゐ」を抜き出して次に移るところだが、もう文字が少なくなっているので、文字が残り少なくなってきた後半は、抜き出した言葉を絶対視しないことが肝心になってくる。

まず先に、「うゐ」を仮に使ったら残った文字がどうなるかを見てみる。

---------------------------------

     
     
   せそ
     
     
     
    も
     
     
わ  ゑ
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらをぬけて あち
ゆめ

ねむり こえ うゐ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜を抜けて 彼方


眠り 越え 有為

---------------------------------

ひらがな部分のみ抜き出すとこうなる。

---------------------------------


          
   せそ
     
     
     
    も
     
     
わ  ゑ
    ん

---------------------------------


一文字も余らせてはいけないので、無理やりにでも言葉を当てはめる。

・ゑそ(壊疽)
・もん(門)
・せわ(世話)

が出て来た。歌と合わせて見てみる。

---------------------------------
はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらをぬけて あち
ゆめ

ねむり こえ うゐ ゑそ もん せわ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜を抜けて 彼方


眠り 越え 有為 壊疽 門 世話

---------------------------------

文字数はぴったりあったけれども、この言葉の組み合わせは描きたいイメージとはかけ離れている。

ここで判明するのは、「うゐ」と選んでしまうと必然的に「ゑそ」「もん」「せわ」が確定しまうことである。「せわ」をひっくり返して「わせ」(和せ)などにも出来るが、描きたいイメージに近づけることはできない。

加えて、これでは歌の空白部分と出て来た言葉の文字数の組み合わせがどうしても合わない。

空白部分の文字数

・彼方○○○……3
・夢○○○○○……5
・○○○○○……5

抜き出した言葉の文字数

・眠り……3
・その他……2

となり、必然的に彼方の後には「眠り」を入れないと成立しないことになる。残りの空白は5と5であるから、文字数はあっていても、どうしても言葉にならない。

無理やり並べると、こうなる。

---------------------------------

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらをぬけて あちねむり
ゆめこえうゐゑ そもんせわ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜を抜けて 彼方眠り
夢越え有為壊 疽門世話

---------------------------------

どういう組み合わせをしても、「ゑ」と「そ」というように、どこかで言葉が切れてしまう。

よって「うゐ」自体は今回のイメージに合う魅力的な言葉だが、使えない、という結論になる。

……。

……と、説明が終わってしまったが、実を言うと、もうちょっとがんばれば、下記のようにまとめることもできたりする。

---------------------------------

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらをぬけて あちねむり
ゆめゑうゐこえ わもせんそ

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜を抜けて 彼方眠り
夢絵有為越え 我も先祖

---------------------------------

これはこれで美しい形にまとまっているので、このイメージでも良ければこれで完成となる。

しかし今回は、描いているイメージとは合わないので、若干惜しいと思いつつもまた再考を重ねる。

後半 2 へ続く。

Posted on 2017/02/26 Sun. 14:25 [edit]

category: 歌の作り方

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26

いろはうたの作り方 ~実践応用編~ 前半 

実践応用編というとなんだか何かの参考書みたいで気が引けるが、引き続き書いていこうかと思う。

解りやすくしたいとは思うものの、この実践応用編は作成手順編の続きでもあるので、そちらを先に読まないと理解は難しいかもしれません。

では、実践応用編 前半スタート。

1. テーマを決める

とにかくテーマを決める。といっても、明確な形になっていなくてもよい。

というのも、歌を書いていて思うのは、イメージが歌と共に出来上がっていく、ということが多いからだ。

明確なイメージが先にあって、それがそのまま歌になるのではなく、まず未完成のおぼろげなイメージがあり、それが歌の断片となり、その歌の断片からまたイメージが膨らんでいき、最後は歌の完成をもってイメージが形になる、というケースが多いからだ。

もちろん慣れて来ると、最初から壮大なイメージが湧いて、それに合わせて歌を練っていく、ということは当然ありうる。

だが、最初のうちにそれをすると、おそらくほぼ挫折するのではないかと思う。なぜなら最初のイメージに何が何でも合わせて歌をつくり上げていくと、いろは歌の縛りの性質上、どこかで無理を生じてきてしまうからだ。

だからテーマは明確でなくてもよい。

春に関する歌を書きたい。正月に関する歌を書きたい。梅について書きたい。月について書きたい。何でもよい。

笑顔をテーマに書きたい。アメリカ人をテーマに書きたい。鬱をテーマに書きたい。死について書きたい。まあ何でもOKである。

2. テーマを掘り下げる

さて、テーマがおぼろげにでも決まれば、さらにテーマを掘り下げていく。

春がテーマなら、桜なのか梅なのか、その春は昼なのか夜なのか。或いは春の海なのか、春の山なのか。自分のイメージする映像を、掘り下げていく。といっても、ここもおぼろげでよい。

3. 言葉をピックアップする

ある程度イメージが出来たら、それに関する気になる言葉をピックアップしていく。今回は昨晩書いた下記歌を元に説明していく。

---------------------------------

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらわけこえ ありもせぬ
ゆめちゐてねん うそゑむを

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜分け越え 有りもせぬ
夢路居て念 うそ笑むを

---------------------------------

そもそもこの歌を書こうと思ったのは、いわゆる春の桜の景色を表現したいと思ったからである。以前も桜に関しては書いているが、中々これぞという出来ではなかった。当時はそれが限界であり、最善であった。

だが、機会があれば再構築して書きたいとの思いが心の片隅にあったので、今回書くことにした。

その世界観とは、映画やアニメでよくあるような、桜吹雪が舞っていて、その夢のような世界に自分が居る、というもの。映画ラストサムライで、勝元が求めていた完璧な桜、というイメージも、今思い起こせば無意識のうちにあった気はする。

だが今回は、シンプルに桜の美しさに焦点を当て、この世のものとは思えない桜というものを可能な限り表現したかったので、武士道云々の気配は入れなかった。正確にいうとそれは意識すらしていなかった。

まず浮んだのは、下記の言葉である。さらに、この言葉はどうしても入れたいと思った。

・はるかすみ(春霞)
・さくら(桜)

言葉をピックアップする時、48文字を一つずつしか使えないという縛りから、表現を躊躇してしまいがちになるが、まずは構わず、自分がどうしても使いたい、入れたい言葉をピックアップすることをお勧めする。

4. ピックアップした言葉を取捨選択する

今回は言葉は重複していないが、もし重複してしまったら、どちらがより自分にとって重要な言葉かを見極めていく。或いは別の表現はできないか、組み合わせを変えてどうにか表現できないか、と考える。

たとえば、下記の言葉が浮かんだとする。

・はるかすみ(春霞)
・あるくみち(歩く道)

この場合「る」と「み」が重複してしまったが、さて、歌を作るにあたってどちらが重要だろうか、と考える。春をテーマにしているならば「春霞」のほうが重要だろうし、老子の道(タオ)をテーマにしているなら「歩く道」のほうが重要になってくるだろう。

しかし、たとえばこの時、自分は老子の道(タオ)をテーマにしているが、イメージする場面は春が良い、春をどうしても入れたい、と思う人もあるかもしれない。そうした場合には簡単に諦めずに、いろいろと試行錯誤をしていく。

というのも、自分の経験上、表現したいイメージを極端に崩してまで形を整えていくと、必ず後で行き詰るか、満足のいくものが出来ないからである。

とは言うものの、48文字の縛りがあるため、ある程度許容しなければならない場合も出て来る。しかしそれは最後の手段である。どうしても入れたい言葉があるならば、積極的に入れていくべきだ。

今回を例でみると、最初は「はるかすみ」としているが、春のみをテーマにしているなら「かすみ」は要らない。そうして「かすみ」を除いてみたら、重複していた「み」が使えるようになり、今度は「みち」の言葉を使えるようになった、という具合に、案外うまく切り抜けられる場合もある。

こうして言葉を取捨選択することによって下記状態になる。

・はる(春)
・あるくみち(歩く道)

しかし、まだ「る」が重複したままである。ここで自分は「あるく」という言葉を本当に入れたいのかを自問自答する。自分にとってそれほど重要でないならば外せばよいし、どうしても入れたいのであれば、今度は別の表現を考えてみる。

たとえば「あるく」を「あゆむ」に変えてみる。そうすると全ての重複がなくなって「春」と「歩」「道」を同時に使えるようになった。

・はる(春)
・あゆむみち(歩む道)

脱線してまったので話を戻すが、最初は下記状態となる。

実際に作っている時は、歌の下側にも五十音を貼っている(作成手順編参照のこと)が、今回の説明には特に必要ないため割愛する。

---------------------------------

あいうえお
 き けこ
 し せそ
たちつてと
なにぬねの
 ひふへほ
ま むめも
や ゆ よ
 り れろ
わゐ ゑを
    ん

        はるかすみ
さくら

  春霞


---------------------------------

5. イメージを広げて新たな言葉を導き出す

さて、これだけだと春霞がどういう状態なのか、桜がどういう状態なのかが掴めない。そこでイメージを広げる。

自分がこの時イメージしたのは、霞が棚引く光景である。

すぐさま五十音で「たなひく」(たなびく)を確認する。すると、既に「く」は「さくら」で使ってしまっているので使えない。

しかし、ここは「棚引く」の言葉をどうしても使いたい。「さくら」を削るか? いや「さくら」はこの歌の根幹をなす言葉なので省くのは無理だ。では桜花(おうか)の言葉はどうか? いやこれも「か」が「かすみ」と重複してしまう。そもそも歴史的仮名遣いにすると「あうくわ」となるので使えない。使えたとしても音読みになって、歌の流れが少々良くない。

ということで「たなひく」を一旦連用形の「たなひき」(棚引き)にしてピックアップしてみる。

---------------------------------

あいうえお
   けこ
 し せそ
 ちつてと
 にぬねの
  ふへほ
ま むめも
や ゆ よ
 り れろ
わゐ ゑを
    ん

たなひき    はるかすみ
さくら

棚引き 春霞


---------------------------------

6. 言葉の流れを整える

ピックアップできたが、言葉の流れがおかしいので言葉を下記の位置に整える。

---------------------------------

あいうえお
   けこ
 し せそ
 ちつてと
 にぬねの
  ふへほ
ま むめも
や ゆ よ
 り れろ
わゐ ゑを
    ん

さくら     はるかすみ
たなひき

桜 春霞
棚引き

---------------------------------

最初は「はるかすみ」の後に「さくら」としていたが、「たなひき」のイメージが出て来たので位置をかえる。棚引いているのは春霞なので「はるかすみ」の後に「たなひき」が来るようにする。宙に浮いた「さくら」はとりあえず、歌の最初に持ってくることにする。

7. 手順5~手順6を繰り返して歌の肉付けをしていく

次に自分がイメージしたのは、桜の名所である吉野である。すぐさま五十音で確認する。

幸いにも「よ」「し」「の」は全て残っているので「よしの」を使うことにする。

「吉野」と「桜」を別々に使っても良いが、辞書で調べると「吉野桜」(吉野山に咲くヤマザクラ / ソメイヨシノの別名)の言葉があり、中々風流なので「吉野桜」を使うことにする。

それが下記状態。

---------------------------------

あいうえお
 き けこ
   せそ
たちつてと
なにぬね 
 ひふへほ
ま むめも
や ゆ  
 り れろ
わゐ ゑを
    ん

よしのさくら  はるかすみ
たなひき

吉野桜 春霞
棚引き

---------------------------------

歌の輪郭がかすかに出て来たのではないだろうか。

次に思い浮かんだのは「やま」(山)の言葉。

8. 言葉の「当てはめ」と「崩し」

五十音で確認すると「やま」を使うのには問題がなさそうだ。

しかし、ある程度歌の肉付けが出来て来ると、新しい言葉をどこに入れるか迷う時がある。

そんな時は、自分のイメージを大切にしながら、新しく導き出された言葉の「当てはめ」と、これまでの言葉の「崩し」を使い分けて、歌の流れを整えていく。

今回であれば、吉野の山に霞が棚引いており、その中で満開の桜が所せましと並んでいる情景をイメージしているので、まずはそれを大切にする。

そこに立ち返ると、この「やま」は単なる山ではなく、特に「春」の山、そして「吉野」の山であることが再認識される。なので、「やま」は単独で使うよりも「吉野山」「春山」といったように複合的に使うべきであることが導き出される。

それは理解できたが、さて「吉野山」「春山」のどっちを使おうか?

ここで「吉野桜」はとても風流な表現で崩すのは惜しいので、とりあえず「春山」を選択してみる。

---------------------------------

あいうえお
 き けこ
   せそ
たちつてと
なにぬね 
 ひふへほ
  むめも
  ゆ  
 り れろ
わゐ ゑを
    ん

よしのさくら  はるやま
かすみたなひき

吉野桜 春山
霞棚引き

---------------------------------

「吉野桜」の表現を崩したくなくて「春山」にしてみたが、こうして「吉野桜」と「春山」を並べてみると、くどく感じられることが解った。

考えてみると、「吉野桜」はその言葉自体に「吉野の山の桜」という意味が含まれているのに、また重複して「春山」と来ているからであろう。

「吉野桜」の表現は捨てがたいが、上記の通り具合が悪いので、ここは「吉野」「桜」と切り崩して「吉野山」と当てはめることにする。

すると下記状態になる。

---------------------------------

あいうえお
 き けこ
   せそ
たちつてと
なにぬね 
 ひふへほ
  むめも
  ゆ  
 り れろ
わゐ ゑを
    ん

よしのやま さくら はる
かすみたなひき

吉野山 桜 春
霞棚引き

---------------------------------

ここでまた言葉の流れを整える。どう整えるかは自由だが、ここでは「よしのやま」は五文字で切りがいいということで、五文字枠にそのまま当てはめる。

---------------------------------

さくら はる  よしのやま
かすみたなひき

桜 春 吉野山
霞棚引き

---------------------------------

「桜」と「春」が余ってしまった。どうするか迷うが、再び歌のイメージに立ち返ると、「吉野山」に「霞棚引き」、その中で「桜」が満開だ、という流れがあるので、「吉野山」→「霞棚引き」→「桜」を意識して、それぞれ言葉を配置していく。

すると、下記の配置になる。

---------------------------------

はる      よしのやま
かすみたなひき さくら

春 吉野山
霞棚引き 桜

---------------------------------

ここまで来ると、情景の動きがおぼろげに見えてきたのが解るのではないだろうか。

「春、なんちゃらなんちゃら、吉野山に霞が棚引き、桜なんちゃらなんちゃら」

と、流れがほのかに見えてくる。

9. 歌全体の構成を意識しながら手順5~手順6を繰り返す

さて、これまでは重複しない言葉選びを主にしてきたが、歌が多少なりとも肉付けされてきたので、歌全体の流れも意識しておきたいところである。

たとえば今回の場合では、上の状態でも問題はないのだが、欲をいえば「霞棚引き」のすぐ後ろに「桜」が来ているのはもったいないと言える。

なぜなら、この歌の中心の題材は桜であるのに、その「桜」を五文字枠に留めておくのは表現の幅が狭まるからだ。五文字枠では残り二文字しか入れられない。七文字枠に入れれば残り四文字も入るので、選択の幅が広がる。

必ず七文字枠に入れなければならないこともないが、最初から五文字枠に入れることもない。どうしても歌の流れの関係で五文字枠に入れなければならない場合は、その時に修正すればよい。

また「霞棚引き」の後にすぐに「桜」が来るのは何だかせわしない。何か一呼吸欲しい。そしてその後「桜」と続けたい。

加えて、「桜」を後半三段目の冒頭部分に配置すれば、物語がいよいよ盛り上がっていく様も演出できそうで、一石二鳥である。

今後配置を変える可能性も排除できないが、以上の理由から下記のように配置する。

---------------------------------

あいうえお
   けこ
   せそ
 ちつてと
 にぬね 
  ふへほ
  むめも
  ゆ  
 り れろ
わゐ ゑを
    ん

はる      よしのやま
かすみたなひき
さくら

春 吉野山
霞棚引き


---------------------------------

実際に配置してみると、最初の文字を縦に読めば「春霞桜」となっていることもあり、流れ的にも中々良いことが解る。

続いて歌と五十音を見てみる。「うつり」「ゆめ」など、いくつかこれまでの言葉と紐づけられそうな言葉が候補にあがるが、ちょっと今の段階では関連性が低い。

なんとなしに眺めていると、今度は「いろ」(色)を連想する。あぁ、「いろ」(色)があったか。早速五十音を見ると「い」「ろ」が残っているのでそのまま使う。なかなかベタな流れだが、とりあえず当てはめてみる。

この時、この「いろ」(色)は桜(花)から容易に連想できる言葉ではあるので歌全体との関連性は深いものの、しかしこの「いろ」が重要な言葉として残るかどうかは、この時点では不明である。

今後「いろ」は省くことになるかもしれないが、しかし今の時点では出て来た言葉なので、とりあえず当てはめてみる。

一番最初の48文字全て使える状態であれば、使いたい言葉を吟味できるが、歌が出来上がっていくにつれ、それは難しくなって来る。なので、少しでも引っかかる言葉が出てくれば、その時点で、まず当てはめてみることが肝心になって来る。

結果的にその言葉を使用しない場合でも、必要であった場合が出て来る。たとえば、「いろ」を最終的に使わなかったとしても、後々に残っていた「ね」の文字をみた時に「ね」と「いろ」が結びついて「ねいろ」(音色)の言葉が導き出される、といった風にである。

話を戻す。

そして「いろ」と言えば「にほひ」である。五十音を見ると「にほひ」は使えないが「にほふ」なら使える。

こうして「いろにほふ」を追加してみる。また、色が匂っているのは当然桜なので、桜の前に配置する。

---------------------------------

あ うえお
   けこ
   せそ
 ちつてと
  ぬね 
   へ 
  むめも
  ゆ  
 り れ 
わゐ ゑを
    ん

はる      よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくら

春 吉野山
霞棚引き 色匂ふ


---------------------------------

詠み返してみると悪くない流れなので「色匂ふ」は一旦確定とする。

さて、ここで「桜」の後を埋めていくか、或いは「春」の後を埋めていくか、迷う人もあるかもしれない。私の経験からすると、どちらでもよい。そもそも一つ一つの歌によってケースバイケースなので何とも言えない。

とはいえ、歌の前半部分を確定させることでイメージがより固まり、続く後半のイメージも膨らませやすくなるので、通常であれば「春」の後を埋めていったほうが無難である。

だが、「春」の後を埋めることのみに偏ると、知らず知らず言葉選びに固執してしまっている場合がある。視野が狭くなると、自分ではこれは良い表現だと思っていても、後で見返した時に陳腐に映る場合がある。そうなれば、また言葉の再構築をしなければならなくなり、かなり面倒なことになる。

そういうこともあるので、「桜」の後に来る言葉も考えながら、「春」の後に来る言葉を探していく、というやり方がベターかと思う。

たとえば、この時点で「ゆめ」(夢)の言葉が非常に気にかかるものの、感覚的には「ゆめ」を使うとすれば、最終あたりになるので、それはまだ確定させない。それよりも、まずは春の後に来る言葉を探す。

ひたすら五十音と歌を眺めて、引っかかる言葉を探していく。自分の場合は同時に音楽を聴いていることが多いので、音楽を聴いて、その世界観に浸っていく。

また、今回は比較的厄介な「ゐ」と「ゑ」がまだ残っているので、どこかで使えないかも合わせて見ていく。

ゑは「こゑ」(声)で使えそうだ。しかし「こゑ」といっても、歌の流れとの接点が見つからない。なので、とりあえず放置だ。

「ゐ」はどうだろう? 「ぬ」が残っているので「ゐぬ」(居ぬ)で使えそうだが、歌の流れとの接点がまだ見つからない。これも放置。

そういえば声と言えば「音」だ。声というと鳥や人に限定されるが、音なら木や草や葉にも対象が広げられる。五十音を見ると「お」「と」がある。なんとか歌の流れに乗せられないだろうか? ……。「おと」の後に続く言葉が見つからない。お手上げだ。

はる……はる……。「の」が使えれば「はるの」(春の)と出来て、後が繋げられやすいが、もう「の」は使ってしまっている。しかも今回は「よしの」なので、この「の」を持って来ることが出来ない。「の」が無理なら「はるを」(春を)にしようか? いやこれものっけから「春を」と来るのはおかしい。

ああ、そういえば「はるべ」って言葉が和歌に使われていたな。「はるべ」はどうだろうか?

と、五十音を見ると「へ」があるので、「はるべ」としてみる。

---------------------------------

あ うえお
   けこ
   せそ
 ちつてと
  ぬね 
     
  むめも
  ゆ  
 り れ 
わゐ ゑを
    ん

はるへ     よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくら

春方 吉野山
霞棚引き 色匂ふ


---------------------------------

中々よさそうだ。これは確定。

そしてまた五十音と歌を眺めて、「春方」に続く言葉を考える。

「うつりぬ」はどうだろうか? うーん何か違うな。どうしよう。

あぁ、「ゑ」と「ゐ」を残していると後で厄介なんだよなぁ。「へ」が加わったことで感じが変わって、何かインスピレーションを得られるかもしれない。

はるへこゑ……はるへこゑ……、だめだやっぱり続かん。

はるへおと……はるへおと……。

あぁ、そういや「はるへおとすれ」(春方訪れ)っていい響きだな。しかしもう「す」は使ってしまっている。いやちょっとまて、「おとすれ」(おとずれ)は歴史的仮名づかいだと「おとつれ」(おとづれ)じゃなかっただろうか。

ということで、辞書を引くと「おとづれ」とあったので、これに決定。

---------------------------------

あ うえ 
   けこ
   せそ
 ち て 
  ぬね 
     
  むめも
  ゆ  
 り   
わゐ ゑを
    ん

はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくら

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ


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後半へ続く。

Posted on 2017/02/25 Sat. 01:03 [edit]

category: 歌の作り方

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25

いろはうたの作り方 ~作成手順編~ 

需要があるのかは不明だが、今回ふと思い立って、私のいろはうたの作成手順について書き留めておこうと思う。

ややこしくなりそうなので、とりあえず作成手順編と実践応用編に分けて書くことにする。

では、作成手順編へ。

1. 五十音を二つ並べる

メモ帳などを開き、下記のように五十音を二つ並べる。二つ並べる理由は後述する。

---------------------------------

あいうえお
かきくけこ
さしすせそ
たちつてと
なにぬねの
はひふへほ
まみむめも
や ゆ よ
らりるれろ
わゐ ゑを
    ん

あいうえお
かきくけこ
さしすせそ
たちつてと
なにぬねの
はひふへほ
まみむめも
や ゆ よ
らりるれろ
わゐ ゑを
    ん

---------------------------------

2. 任意の言葉を考える

五十音を二つ並べたら、いよいよ任意の言葉を考えて、歌を作っていく。今回は有名な「とりな歌」(とりなくこゑす~)を例にして説明するので、最初の言葉は「とりなくこゑす」とする。

私は二つの五十音の間に歌を書くやり方をしているので、ちょうど下記の状態になる。

---------------------------------

あいうえお
かきくけこ
さしすせそ
たちつてと
なにぬねの
はひふへほ
まみむめも
や ゆ よ
らりるれろ
わゐ ゑを
    ん

とりなくこゑす  ←
         ←
鳥鳴く声す    ←

あいうえお
かきくけこ
さしすせそ
たちつてと
なにぬねの
はひふへほ
まみむめも
や ゆ よ
らりるれろ
わゐ ゑを
    ん

---------------------------------

3. 出来上がった言葉を五十音から抜く

言葉が出来上がったら、今度は上側の五十音からその言葉を抜き出す。(下側の五十音は無視)

---------------------------------

あいうえお
かき け 
さし せそ    ←
たちつて 
 にぬねの
はひふへほ    ←「とりなくこゑす」
まみむめも      を抜き出す
や ゆ よ
ら るれろ    ←
わゐ  を
    ん

とりなくこゑす

鳥鳴く声す

あいうえお
かきくけこ
さしすせそ
たちつてと
なにぬねの
はひふへほ
まみむめも
や ゆ よ
らりるれろ
わゐ ゑを
    ん

---------------------------------

なぜわざわざこういうことをするかというと、下記二つ理由がある。

・文字を重複させないようにするため
・残った文字を見ながらインスピレーションを得るため

一番目の理由は誰もが納得だろうが、二番目の理由は少々わかりにくいかもしれない。たとえば、下記のように最後5文字だけ残っている、という状況を考えてみれば、この意味がわかるのではないだろうか。

---------------------------------



 し
    と

  
 み
    

    を 
 

---------------------------------

この5文字を見て、どんな言葉を連想するだろうか?

眺めて見れば、いろいろと考えられる。

・としかみを(歳神を)
・かみとしを(神と死を)
・とみしをか(富みし丘)
・とみをかし(冨を貸し)
・としかみを(都市が身を)
・をかしみと(犯し身と)
・とをかしみ(十日染み)
・みをとかし(身を溶かし)
・かしとみを(菓子と実を)

他にも考えられるだろうが、このぐらいにしておく。

これが「と し か み を」と直線的にのみ見せられると、どうしても「歳神を」「年が身を」「都市が身を」などに連想がいってしまって、中々上記の言葉まで行きつきにくくなる。

これが5文字だけならまだよいが、さらに10文字15文字となると、直線的に見ているだけでは、中々発想を飛ばしていくのは難しい。

「あ も き さ て む わ る れ ね」

どうだろうか? 中々難しいのではないだろうか? これを先ほどの五十音で示してみる。

---------------------------------


 き

   て
   ね

  む も

  るれ



---------------------------------

どうだろうか? 先ほどと比べて、文字が浮かび上がりやすくなっているはずである。

このように、文字を直線的ではなく平面的に見ることで、インスピレーションを得やすい、という利点がある。

ちなみに上の文字は、たとえばこのような文章を作れる。

・われあさきてもねむる(我、朝来ても眠る)
・わるきあさもねむれて(悪き朝も眠れて)
・ねむるあさわきもれて(眠る朝、和気漏れて)
・あさきねむるわれても(朝来、眠る我でも)

4. 手順2~3を繰り返して、歌を作っていく。

このように2~3を繰り返して、歌を形作っていく。下記は「ゆめさませ」を追加。

---------------------------------

あいうえお
かき け 
 し  そ    ←
たちつて 
 にぬねの
はひふへほ    ←下記12文字を抜き出す
 みむ も
や   よ
ら るれろ    ←
わゐ  を
    ん

とりなくこゑす ゆめさませ ←

鳥鳴く声す 夢覚ませ    ←

あいうえお
かきくけこ
さしすせそ
たちつてと
なにぬねの
はひふへほ
まみむめも
や ゆ よ
らりるれろ
わゐ ゑを
    ん

---------------------------------

5. 修正を加える

基本、上の手順の2~3を繰り返して作っていくわけだが、十中八九、一度でぴったりといろは歌はできないので、何度も修正していくことになる。

たとえば、当初は「とりなくこゑす」としていたが、「とりなくねきく」等に変えるなど、実際に詠んだ感じがしっくりこなかったり、後になって使える文字が少なくなった時に、文字を入れ替える場合がある。

この時、当然上側の五十音もまた元に戻さなければならない。

それが下記の状態だが、元に戻す際には、下側の五十音からそのままコピペする。修正は幾度も行うことになるので、このようにコピペ用に下側にも五十音をあらかじめ載せているというわけである。

---------------------------------

あいうえお
かきくけこ
さしすせそ
たちつてと
なにぬねの  ← ペースト
はひふへほ
まみむめも
や ゆ よ
らりるれろ
わゐ ゑを
    ん

とりなくねきく ゆめさませ

鳥鳴く音聞く 夢覚ませ

あいうえお
かきくけこ
さしすせそ
たちつてと
なにぬねの  → コピー
はひふへほ
まみむめも
や ゆ よ
らりるれろ
わゐ ゑを
    ん

---------------------------------

6. 修正後の言葉を五十音から抜く

手順3と同じ。

7. 48文字全てを揃える

手順2~4を繰り返すことで、48文字全て揃って歌の形が出来る。ここで完成としたいところだが、そうならない場合がある。

というのは、確かに48文字一つも重複無しの歌が出来上がるわけだが、実際詠んでみると、流れがちぐはぐな場合がある。とりな歌を例にとってみると、たとえば下記のような状態で完成する場合がある。

---------------------------------

とりなくこゑす さませゆめ
ひんかしをみよ いろはえて
あけわたるそら もやのうち
おきつへにゐぬ ほふねむれ

鳥啼く声す 覚ませ夢
東を見よ 色映えて 
明け渡る空 靄の中
沖つ辺に居ぬ 帆船群れ

あいうえお
かきくけこ
さしすせそ
たちつてと
なにぬねの
はひふへほ
まみむめも
や ゆ よ
らりるれろ
わゐ ゑを
    ん

---------------------------------

確かに48文字一つも重複していないが、何か流れが惜しい気がする。

ここまで来ると、早く完成させたい気持ちにかられるが、ここでは48文字全て重複しないで揃っているかが最重要なため、完成は後回しにして、先にチェックを行なう。

8. 重複&仮名遣いチェックを行う

チェックは下記状態にして行う。

---------------------------------

あいうえお
かきくけこ
さしすせそ
たちつてと
なにぬねの  ← ペースト
はひふへほ
まみむめも
や ゆ よ
らりるれろ
わゐ ゑを
    ん

とりなくこゑす さませゆめ
ひんかしをみよ いろはえて
あけわたるそら もやのうち
おきつへにゐぬ ほふねむれ

鳥啼く声す 覚ませ夢
東を見よ 色映えて 
明け渡る空 靄の中
沖つ辺に居ぬ 帆船群れ

あいうえお
かきくけこ
さしすせそ
たちつてと
なにぬねの  → コピー
はひふへほ
まみむめも
や ゆ よ
らりるれろ
わゐ ゑを
    ん

---------------------------------

手順3の要領で、歌のひらがな部分を見ながら一文字ずつ抜き出す。上側の五十音全てが消え、再び手順7の図の状態になればOK。

さらにここでは、旧仮名遣いにちゃんと対応しているかもチェックする。

たとえば

・声は「こゑ」であり「こえ」ではないのでOK
・「映えて」は「はえて」であり「はへて」ではないのでOK
・居ぬは「ゐぬ」であり「いぬ」ではないのでOK

など

9. 言葉の配置を変える

(言葉の配置も完璧で、既に完成している場合はそのまま完成となります)

既に48文字重複無しという点では完成しているので、この時点ではもう五十音を使わず、後はコピペのみで配置を変えていく。これは、48文字がまた重複しないようにするための処置でもある。

---------------------------------

とりなくこゑす さませゆめ
ひんかしをみよ いろはえて
あけわたるそら もやのうち
おきつへにゐぬ ほふねむれ

鳥啼く声す 覚ませ夢
東を見よ 色映えて 
明け渡る空 靄の中
沖つ辺に居ぬ 帆船群れ

↓(「ゆめ」の部分をカットして「さませ」の前にペーストする)

とりなくこゑす ゆめさませ
ひんかしをみよ いろはえて
あけわたるそら もやのうち
おきつへにゐぬ ほふねむれ

鳥啼く声す 夢覚ませ
東を見よ 色映えて 
明け渡る空 靄の中
沖つ辺に居ぬ 帆船群れ

↓(同じように気になる所の配置を変えて完成させる)

とりなくこゑす ゆめさませ
みよあけわたる ひんかしを
そらいろはえて おきつへに
ほふねむれゐぬ もやのうち

鳥啼く声す 夢覚ませ
見よ明け渡る 東を
空色映えて 沖つ辺に
帆船群れゐぬ 靄の中

---------------------------------

10. 再び重複チェックを行う

手順8の要領で、再びチェックを行う。チェックのしすぎと思う人もいるかもしれないが、慣れない内は自分が気付いていない点も多いことが通例なのでチェックをする。慣れていたとしても、ここでチェックを再びすることで、歌の流れが本当にこれでよいのか、或いは、よくまとまっていても、さらによい歌の流れに変わるインスピレーションを得たりするので、チェックは怠らない。

11. 完成

チェック後、もうこの形以外はどうやっても出来ない、または、これが今自分の作れる最善の形、と腑に落ちれば完成です。

---------------------------------

とりなくこゑす ゆめさませ
みよあけわたる ひんかしを
そらいろはえて おきつへに
ほふねむれゐぬ もやのうち

鳥啼く声す 夢覚ませ
見よ明け渡る 東を
空色映えて 沖つ辺に
帆船群れゐぬ 靄の中

---------------------------------

Posted on 2017/02/24 Fri. 16:51 [edit]

category: 歌の作り方

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