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花鳥風月

気ままに回文歌、いろは歌を書いています。

まわりうた 

しきるなつ せかいけほとも
  なみたまた みなもとほけい かせつなるきし

(頻る夏 世界毛ほども 涙また 水面と暮景 佳絶なる岸)

解説

頻る(しきる)は「何度も繰り返し起こる。また、さかんに引き続いて起こる。」、毛ほどは「(打ち消しの語を伴う)ほんのわずか。」、暮景(ぼけい)は「日暮れ時の景色。夕方の情景。」「老境。晩年。」、佳絶(かぜつ)は「(風景が)この上なくよい・こと(さま)。絶佳。」の意味です。

余談

この歌は、「千と千尋の神隠し サウンドトラック」の中にある「あの夏へ」を聴きながら、それをモチーフに書いた歌です。

意訳

毎年毎年、繰り返しやって来る夏。生命の躍動が盛んに起こって来る夏。頻りに蝉が鳴き、草木が大いに生い茂っていく夏。

今年の夏は、今年限りの夏のはずなのに、目の前に見る夏の世界は、昔からこれっぽっちも(変わらないなぁ)。そう思うと、涙がまた溢れ出て来る。

(川の)水面と夕暮れ時の(街並みの)情景が見える、この岸からの眺めは、(昔から知っているけれども、変わらずに)素晴らしいなぁ。

雑感

自分の場合は、川の水面と夕暮れの街並みというイメージで設定したが、人によっては海の水面を想像して、夕暮れ時、そこに多数の船が行き交っている、などなど、それぞれ好きな情景を楽しんでもらえたらと思う。

もう少し踏み込むならば、暮景は「晩年」の意味があり、岸には崖の意味もあるので、これは晩年の自分と、その先にある死を暗示させる。

また巡って来た今年の夏の風景は、いつかどこかで見た風景とそう変わらないのに、気が付けば自分は年老いてしまって、昔とずいぶんと変わってしまったなぁ、という心境が、ここに滲み出ているように個人的には感じる。

けれども、幼少期だろうが老年期だろうが、目の前の光景が素晴らしいことは変わりない。夏の季節、それぞれが生命豊かに、これでもかと変化していく事実は何も変わらない。

だから、この先にある自分の死もまた、素晴らしいものなのではないか、と、大いに期待し、手放しで予感してしまうほどに、目の前の情景が素晴らしい、ということを、この歌は詠っているように思う。

このようにして、夏が頻りに何かを訴えかけて来る。生命がどれだけ偉大であるかを訴えかけて来る。既にここに生きていることが、いつかどこかで死んでいくことが、どれだけ素晴らしいかを、訴えかけて来る。

きっと一番最初の「頻る夏」は、そういうニュアンスさえも含まれているに違いない。

Posted on 2017/08/05 Sat. 00:33 [edit]

category: まわりうた

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